IF Another despair side:Syugeibu

あってはならない未来。 けれど、ありえなくはない未来。

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Le.15

【IF Another despair side:syugeibu】愉快な同意者達②


封鎖特区横浜。
そこは世界結界の崩壊によりゴーストが溢れかえり、街は荒廃し、数年前の活気も消え、この世の地獄と化していた。

その特区に属するアオバエリアにぽつんと佇む古びた物静かな館。
その館で銃声がした。

館の内部には仮面を着けた1人の男に対峙する政府の軍服を着た3人の男。
その3人の中の1人、隊長格の男が銃で仮面の男を撃っていた。

「え…?」

撃たれた仮面の男は一瞬の出来事にそう声をもらし下を見た。
心臓部分には風穴が開き、大量の血が溢れ口からも血が溢れる。

「あ…あぁ…」

震える仮面の男。

「地獄に帰れ。亡霊が…」

隊長格の男はそう呟く。

「う、嘘…だ…。私は…ま……」

亡霊が膝を着き倒れ、動かなくなった。
血は流れ続け、彼を中心に紅い円を広げている。

「た、隊長…。終わったんですか…?」

死体を見ていた隊長は振り返り笑みを向けた。

「あっけないとは思うがあの状態じゃもう生きてないだろ?」

隊員達は安堵の笑みを浮かべる。

「さ、合流地点に戻るぞ。」

隊長はそう言い部屋から出て行き、隊員もその後に続いた。


【小隊4】

「いらっしゃいな♪」

20代の女性は笑顔でそう言った。
3人の隊員は銃を女性に向けたまま近寄る。

「お前は、柳・琥珀だな?」

そう問う1人の隊員。
琥珀と呼ばれた女性は笑顔を無くした。

「そうだけど…?もしかしてあの計画…?」

琥珀はそう問うと隊員ははっきり頷く。
琥珀は呆れ顔になり溜め息をついた。

「まだ続いてたんだ…。あんな馬鹿げた計画…。」

琥珀はその計画を思い出していた。
数年前、政府が密かに計画した危険性の高い能力者を抹殺する計画。
浅葱と琥珀はその計画の対象になり、浅葱はそれで両目を失明した。

「許せよ?これも平和へ近付くためなんだ…」

その言葉に琥珀は手で顔を覆い、笑った。
そんな琥珀を3人の隊員は驚いた表情で見ている。

「わたしを襲った奴等もそう言ってたよ…。だけどさ、罪も無いのに殺されるわたし達はなんなのさ…。わたし達だって君達と一緒なんだよ…?」

琥珀の口からは説得する様な口調で語られる。
その言葉に隊員達は表情を曇らせた。

「ね?だからもうこんなのやめよう?わたし達を助けてよ…。」

琥珀は今にも泣き出しそうな声で嘆く。
隊員の1人は申し訳なさそうな表情をして口を開いた。

「すまない…。俺達も出来る限り匿いたい…。だが、上からの命令だから逆らう訳にもいかないんだ…」

隊員の1人がそう言い、銃の引き金に手を掛けた。

その時だった。
突然、空気が先ほどまでの哀愁が無くなり、殺伐とした荒々しい空気が溢れた。

「な~んだ、真面目君か~。つまらない」

琥珀の泣きだしそうだった顔は虫を見る様な不快な表情に変わっていた。
隊員達はあまりの変わり様に呆然とした。

「同情して見逃してくれると思ったのにな~。」

琥珀は残念そうに言い、息を吸う。
その行動に1人の隊員は何かに気付いた。

「や、やばい!逃げ…」
「遅いよ…。」

隊員の言葉を遮る様に琥珀は呟き、叫んだ。
その声は叫びより騒音に近い歌声。
ブラストヴォイス。
彼等がそう認識した頃には時すでに遅し。
ブラストヴォイスの衝撃は隊員達に襲いかかり、隊員達は壁に叩きつけられた。

「が…ぁ!」

叩き付けられた隊員は苦悶の表情を浮かべ、声を漏らす。

「あはは~♪もう終わりかな?」

琥珀は見下す様に笑みを浮かべ隊員達を見ていた。
隊員達はふらつきながらも立ち上がり、接近戦用の刀を引き抜き構える。

「ゆ、許さねぇ…。騙しやがってぇ!」

隊員の1人が琥珀に目掛け、走り出す。
琥珀はクスクス笑い待ち構える。

「騙される方が~わ・る・い♪」

斬りかかる隊員を琥珀は楽しそうに避け1枚の符を隊員に貼り付けた。

「ばいば~い♪」

琥珀はそう言い、斬りかかった隊員に背を向け自分のギターを取りに向かう。

「な、なめやがってぇ!…がぁ!」

隊員は貼られた符を無視し再び琥珀に斬りかかろうとしたが、突如襲った激痛に膝を着いた。

「な…な…」

隊員の膝が逆に曲がっていた。
激痛の原因はそれだった。

「まだまだ♪」

琥珀はギターを弾きながら楽しそうに傍観していた。
その琥珀の言葉に反応する様に隊員の身体の部位が逆に動き始める。

ボキッ…グキッ…ベキッ…
部屋に響くのは骨が折れる音。
それに合わさる様に響く言葉にならない隊員の叫び。

ゴキッ…

鈍い音と共に隊員の首が逆に曲る。

「が…あが…」

隊員は低く呻きピクリとも動かなくなった。

「お、おい…!」

ようやく隊員達は声を上げ変わり果てた1人の隊員に駆け寄った。
しかし、それはもうただの肉塊。
2人の隊員は絶句し、琥珀を見た。
琥珀は相変わらずギターを弾き笑顔で2人の隊員を見ていた。
しかし、目は笑っていない。
隊員達は改めて彼女の異常さを思い知った。

「さぁ次はどっち?」

琥珀の問いが2人の隊員に重くのしかかる。
2人の隊員は少し怯みながらもお互いを見て頷き合い、刀を構えた。

「2人か~。うん、いいよ。かかってきなさいな♪」

琥珀は余裕の笑みを浮かべ構えた。

「「覚悟しろ!」」

2人の隊員は走り出し、隊員の1人が琥珀を目掛け刀を振り降ろす。
琥珀は一歩後ろへ下がり符を貼ろうとした。

「させるか!」

もう1人の隊員がそれを阻止すべく斬りかかる。

「…!」

琥珀は無理矢理身を翻し、刀を避け隊員達から距離をとった。

「…、なかなかやる…」

そう呟く琥珀は自分の腕を見た。
先ほどの攻撃で服は切れ、そこからは血が滲んでいた。
隊員達は敵に傷を与えた事で勢いが付き、琥珀に再び襲いかかった。

「く…。」

利き腕をやられた琥珀は少し焦りの色を浮かべる。

「死ねぇ!化物!」

隊員はそう叫び刀を振り降ろした。
琥珀はその言葉に反応し、振り降ろされた刀を紙一重で避け、隊員の1人に近付き、耳元で囁いた。
琥珀はそのまま隊員達から離れ笑みを浮かべた。囁かれた隊員は何かに怯える様に震え始めた。

「お、おい!大丈夫か?」

異常を察したもう1人の隊員は声を掛けた。
震えていた隊員はゆっくりと振り返り、隊員の顔を見た。
するといきなり震えだし刀を隊員に刺した。

「な…」

刺された隊員は驚いた表情でもう1人の隊員を見る。
刺した隊員の目は焦点が合っていなかった。

「ひ、ひひ…、死ね…化物…」

正気を失くした隊員は更に刀を捻り深々と刺した。

「や、やめ…」

刺された隊員は最後まで言い切る前に事切れた。

「ひ、ひひ…やった。化物を殺れたんだ…」

隊員は狂気の笑みを浮かべ自分に刀の切っ先を向けた。

「こ、これで平和が…ひひ…」

そう言うと刀を自分に刺し始めた。

「ぎゃぁあぁあああああああああ!!」

苦痛で悲鳴を上げながらも刀をどんどん深く刺していく。
それを琥珀は笑みを浮かべながら傍観している。

「頑張ってね…化物である君も死ねば皆の為だよ?」

刀をもう半分ほど刺した隊員に語りかける。

「は、はひ…あが…」

刀を一気に最後まで刺した隊員は大量に血を噴出し、倒れた。
今この部屋に3体の死体が出来上がり、琥珀はようやく安堵の笑みを浮かべた。

「はは…、疲れた…。部屋も汚れたし皐月に怒られちゃうよ~」

琥珀は苦笑し、自分の傷を負った腕を抑えて部屋を後にした。


【小隊2】

黒を主体とした服を着た女性、皐月は笑顔を絶やさず銃で崩れた壁の破片を箒で掃いていた。
隊員達は半ば呆然し、その光景を眺めていた。
が、1人の隊員は苛々していた。
壁に穴を開けた張本人の隊員だった。

「おい女ぁ!おめぇはここの関係者か!?」

銃を皐月に向けながらそう叫んだ。
皐月は笑顔を絶やさずその隊員の顔を見ながら床を掃き続けている。

「そうですが?何かご用でしょうか?」

おっとりした声で皐月はそう答えるとやる気のない隊員はニヤリと笑い口を開いた。

「決まってる!ここの主をぶっ殺すんだよ!」

隊員はそう声を上げたが皐月は驚きもせず、ただ笑顔で聞いていた。

「あらあら、それはご苦労様ですね~。では私はお掃除がありますので失礼しますね?」

皐月はそう言い、3人の隊員達の横を通り過ぎた。

「おっと、待ちなぁ。」

隊員は皐月の頭に銃を突き付けた。
しかし、皐月の表情は変わらない。

「まだ何か?」

皐月はそう問い掛けると隊員は笑ったままだ。

「テメェも同罪だぁ。ここで死んでもらうぜぃ」

「待て!俺達の命令は柳兄妹の抹殺!他の奴等は捕獲の命令だろう!」

その言葉に反応したのは1人の隊員。
寡黙の隊員も黙って頷く。

「うるせぇ!」

隊員は銃を2人の隊員に目掛け乱射した。
乱射された銃弾は2人の隊員に襲いかかり風穴を開けていく。

「が…何を…」

口から血が溢れ、満身創痍の隊員がそう言ったが隊員は聞く耳を持たず尚も撃ち続ける。
2人の隊員はやがて動かなくなった。
皐月は笑顔のまま黙ってその光景を見ている。

「あら?仲間じゃないんですか?」

皐月はそう問うと銃を再び突き付けられ、隊員はニヤリと笑った。
その目は己の邪魔をするモノを見境なく殺す目だって。

「これは…、ちょっと掃除しないといけませんね…。」

皐月は笑顔のまま隊員から距離を取って近くに箒を置き、ナイフを両手に持ち構えた。

「ほぉ~、いい動きだ。こりゃぁ楽しみだぁ!」
隊員はそう言うと同時に銃を撃つ。
皐月は身体を捻り、銃弾を避けると同時に床を蹴り隊員に飛び掛かる。
狙いは相手の首。
隊員は笑ったまま刀を抜き首を斬ろうとするナイフを受け止めた。

「動きはいいが狙いが甘いなぁ!」

隊員はもう片方の腕で銃を皐月の腹に当て発砲した。

「……!」

皐月は咄嗟に身体をずらしたが弾丸は皐月の横腹を抉った。
皐月は撃たれた衝撃で一瞬動きが鈍る。
隊員はその一瞬を見逃さず、皐月を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた皐月は体制を整え構えるが足が震えていた。
撃たれた横腹は血が溢れ、彼女の顔は少し青白くなっている。

「足が震えてるぜぇ?もうお終いかい?」

隊員は余裕の笑みを浮かべ、近寄る。

「………。」

皐月はやはり笑顔のまま。
しかし、状態からして内心焦っているのが分かる。

「そっちが来ないなら…こっちから行くぜぇ!」
隊員は一気に駆け寄り刀を横に振る。

「……っ!」

皐月は咄嗟にナイフで受け止める。
だが彼の猛攻は止まらない。

「まだまだぁ!」

更に銃を向け引き金に手を掛ける。
頭に向けられた銃口を皐月はナイフではじき、弾道を変える。
しかし、彼は笑った。
皐月に激痛が襲う。
彼の蹴りが横腹に食い込んでいた。

「ぐぁ!」

皐月は初めて表情が苦悶の表情へと変わる。

「頭がお留守だ!」

隊員のかかと落としが皐月の脳天に直撃した。

「ぅぐ…!」

皐月は低く呻き、倒れた。
隊員は笑いながら皐月の頭を踏み付け、銃を向けた。

「ゲームオーバーだなぁ」

隊員は引金に手を掛ける。

皐月は苦悶の表情のまま抵抗もできずにただ撃たれるのを待つのみ。

その時だった。

「ぐぁあ!」

隊員の叫びと銃が落ちる音が聞こえた。
皐月は訳も分からず見上げる。

「デガラシ…君…?」

皐月が見たのはデガラシが隊員の腕に刃物を突き刺している光景だった。

「サッチャンニテヲダスナ!」

叫ぶデガラシ。
しかし、隊員は怒り、デガラシを掴み上げる。

「こぉの!ガラクタがぁ!」

デガラシを力の限り投げ飛ばし、更に倒れた所を踏み付けた。

「ウギャ!」

悲鳴を上げるデガラシ。
隊員は刀を逆手に持ち振り上げる。

「壊れろやぁ!」

怒声と共に降り下ろされた刀。
しかし、刀は何かにぶつかった衝撃で軌道がずれ、床を突き刺した。
やる気のない隊員は一瞬驚き、ぶつかったモノを見た。
それは柄の部分が血に汚れたナイフ。
皐月が使っていたモノだった。

「あぁ?」

隊員は皐月の方へ目を向けた。
しかし、彼女はすでにそこにおらず、目と鼻の先にいた。

「壊れるのは…貴方です…!」

皐月は最後の力を振り絞り隊員の眉間にナイフを深く突き刺した。

「あ?え?」

隊員は血を噴き出し崩れ落ちた。
踏まれていたデガラシは立ち上がり、皐月に近寄って彼女を揺する。

「サッチャンダイジョブカ?」

膝を着き、俯いていた皐月は青ざめた笑顔をデガラシに向けた。

「えぇ…なんとか…」

そう答え、立とうとした。
しかし、足が言う事を聞かず、また倒れる。

「うまく立てませんね…」

そう苦笑する皐月。
デガラシはそれを見ると皐月の両腕を持ち、運び始めた。

「デ、デガラシ君?」

皐月は驚いた表情でデガラシを見た。

「サッチャンハヤスンデロ!アルジノトコマデツレテッテヤル!」

皐月は驚いた表情をしたがすぐに苦笑しデガラシに身を任せた。

【小隊3】

『人形室』と書かれたとても広い部屋で、3人の隊員は無数の人形相手に戦闘を行っていた。
人形達は次々と隊員達に襲っては隊員達に撃たれガラクタの山を築いていた。

「あぁ!桃山~!竹之内!あぁ~、また修理費がぁ~」

フードを被った男、悟は倒された人形達の名前を呼び、さらに修理費云々で嘆いていた。

「あの人、人形に名前つけてるんですか…」

丁寧口調の隊員が半ば呆れ顔で言う。

「そんなの気にするな!目の前の敵に集中しろ!」

強持ての隊員は銃で人形を撃ち抜き、近すぎる人形は刀で斬り捌いていった。
もう1人の隊員も体術等を駆使して人形を倒していく。
丁寧口調の隊員もそれに習い人形を倒していく。

「ふむ…、敵も中々やるな。ならば作戦変更!BからA!」

悟がそう叫ぶと人形達は隊列を変え、隊員達に襲いかかった。

【小隊1】

「何の音だ?」

廊下を歩いていた隊長が何かに気付き歩みを止めた。
2人の隊員も同じく足を止める。

「隊長、どうかしましたか?」

隊員の問いに隊長は振り向き再び前を見た。

「何か聞こえる…」

隊員達は顔を強張らせた。
隊長は耳を澄ませ音を聞く。
音は次第に大きくなり、はっきりと聞こえてきた。
それは何かが破壊される音。
恐らく壁か何かが崩れた音だ。
隊長はその音を聞き、何やら嫌な予感を感じた。

「急ぐぞ!」

隊長はそう言い走り出す。
隊員達は一瞬驚いたが隊長にしっかりと着いていく。
しばらく走ると目の前に壁に出来た大きな穴と人影が見えて来た。

「…!おい!大丈夫か!?」

隊長は思わず声を上げる。

「た、隊長…」

そこにいたのは、丁寧口調の隊員だった。
彼はあちこちが浅い傷だらけで穴に目掛け銃を撃っている最中だった。
隊長は舌打ちをし、手榴弾の安全ピンを外し穴の中へと放り投げた。

「伏せろ!」

隊長の一声で全員が床に伏せた。
巨大な爆発音と共に無数の人形が飛び散った。
静まり返る部屋と廊下。
隊長は顔を上げ部屋の中を覗いた。
あちこちに人形の頭や部品等が散らばっている。
その中に1人の人間が立っていた。
先程の爆発でボロボロになったフード付の服を着た男。
その男はフードを深く被っていて顔が分からない。
フードの男は辺りを見渡し、隊長の顔を見た。

「く…、やるじゃないか。だが目的は済んだから俺は失礼するよ。」

フードの男はそう言い、廊下に出て走り出す。

「お前達はそいつの手当てを頼む!」

隊長はすぐさま起き上がり男を追った。

取り残された2人の隊員は丁寧口調の隊員の手当てをしていた。

「大丈夫か?何があったか説明してくれ。」

1人の隊員が丁寧口調の隊員に声を掛けた。
彼は震えながらも頷き、隊員達を見た。

「あいつら…、急に仲間に抱き付いて自爆してきたんです…。あの人達は僕を庇って…」

丁寧口調の隊員はそこまで言い泣き出した。
2人の隊員はなんて声を掛けたらいいか分からなかった。
そんな空気の中、足音が聞こえた。
隊員達は顔を上げ足音がする方へ顔を向ける。

「隊長…?」

1人の隊員は声を掛けるが反応が無い。
近付く足音。
次第に姿が見え始めた時、2人の隊員は驚愕した。

「お、お前は!」

そこにいたのは…。


隊長は館内を1人で走っていた。

「何処へ行った!?」

息を切らせ、辺りを見回すが誰もいない。
先程まで追っていたフードの男も見当たらない。
完全に見失ってしまった。

「く…、あと少しの所で!」

隊長は唇を噛み、更に辺りを見渡した。
すると1つ半開きした扉が目に入り、隊長は銃を構え中に入る。
中はとても広い部屋。
パーティーをする為の部屋なのか、幾つものテーブルと椅子が並んでいた。
隊長は隅々と部屋を見ると、1人の男がいた。
その男を見た途端に隊長は驚愕した。

「ようこそ、最後の挑戦者…。」

そう言う1人の男、先程殺した亡霊、浅葱だった。

「お、お前…何故生きて…?」

隊長は震えながら浅葱に問う。
浅葱はと言うとそれを笑みを浮かべながら聞き、口を開く。

「私は…、亡霊ですから…」

浅葱は嘲る様にそう答えるが、隊長は納得出来るはずがない。

「答えになってない!真面目に答えろ!」

銃を構え、威嚇する隊長。
それを楽しそうに見る浅葱。

「貴方に答える義務は私にはありません…。それより、これを見てください…。」

そう言い浅葱は指を鳴らした。
その音に反応して閉じられていた暗幕が開き始めた。

「な…!」

隊長は言葉を失った。
開ききった暗幕。
そこに居たのは先程まで丁寧口調の隊員の手当てを行っていた2人の隊員だった。
手足は縛られ、額には符が貼られていた。

「この方達を助けたかったら政府に計画の廃止、及び特区内の人民救助を約束させなさい…。」

浅葱は光の槍を形成し、隊員達に向けた。

「ひ、卑劣な!」

隊長が怒鳴る。
しかし、浅葱はただ溜め息をつくだけ。

「卑劣なのはどちらですかね…?まぁ、この様な状況を作ったのは貴方ですから…」

その言葉に隊長はハッとした。
確かに、自分があそこで隊員達といればこうならずに済んだ。
隊長はミスをした自分を恨んだ。

「く…。分かった…。少し待ってろ。」

隊長はそう言い通信機を手に取り通信を始めた。
それを見た浅葱は一層に笑みを濃くし、人質である隊員達に目を向けた。
隊長はそれを逃さなかった。
隊長は銃を浅葱に向け発砲し、接近した。
浅葱は空気が変わったのを感知し、弾丸を避け光の槍を隊員達に放つが隊長がそれを刀で斬りさく。
さらには隊員達を縛っていた縄を斬り、隊員達を自由にし距離をとった。
隊員達は自分に貼られた符を剥し、隊長と同じ距離をとった。

「これで形勢逆転だ!」

隊長は勝利を確信した笑みを浮かべた。
浅葱は呆れ顔で溜め息をついた。

「卑怯ですね…。まぁいいですが…」

そう言い浅葱は指を鳴らす。
するとカーテンの影からツインテールの女性が姿を現した。

「ふふふ~ん♪隙ありまくり♪な感じ?」

隊長達はその姿を見て、身構えた。
カーテンから現れたのは詩人と呼ばれている女性柳・琥珀。

「2人か…。俺は浅葱を相手にするお前等は琥珀…を…?」

隊長はそう命令するが隊員達の異変に気付き、言葉が途中で切れた。
隊員達は目を限界まで見開き、震えていた。

「お、おい!お前等どうした!?」

隊長は声を掛けるが隊員達はただ震えるだけ。
その光景を浅葱と琥珀は楽しそうに眺めていたが、琥珀が目を閉じ、何かを呟いた。

「「がぁぁあぁあぁああ!」」

2人の隊員は苦しそうに叫び、関節があらぬ方向へと曲がり始めた。
隊長はその光景に言葉が出なかった。

「だ…だいぢょ…ぉ…が!」

隊員の1人が隊長に手を伸ばすが、その手もボキッと言う音共に形が変わっていく。
しばらくして、2人の隊員はただの肉塊と化した。

「これも…、貴方のせいですね…。あの2人の背を見てみなさい…」

浅葱の言葉に呆然としていた隊長は、2つの肉塊を見た。
2つの肉塊には2つの符が貼られていた。
隊長はその2つの符を見てへたれこんだ。

―また自分の判断ミス…そのせいで無駄な命が…。
自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで!

「うわぁあぁあぁああ!!!」

隊長は発狂した。


「ん?終わりましたか?」

あちこちボロボロな皐月と悟そう言って入ってきた。
2人は隊長を見ると隊長は目を見開き、口をパクパクと動かしていた。

「えぇ、なんとか…」

浅葱はそう言い、琥珀は笑みを浮かべたまま隊長を見ていた。

「しかし、少しやられたとはいえ、あんま手応えが無かったな。政府は何考えてんだ?」

悟はそう言い顎に手を当てたその時だった。

「そ、そんな!」

悟は驚き声のした方を見る。
隊長が叫んでいた。
近くにいた琥珀も驚いた表情をしていた。
琥珀の仕業では無いらしい。

「い、嫌だ!待ってください!まだ任務は…!」

隊長は尚も叫び、意味分からない事を連呼していた。
その光景に浅葱は眉をひそめ、3人の前に立つ。

「お兄ちゃん…?」

琥珀は質問するが浅葱は黙って隊長を睨む。

「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁあぁああ!」

隊長はそう叫びながら身体が膨張し始める。

「「「…!」」」

浅葱を除く3人は驚愕した。
浅葱だけは天井を睨み、舌打ちをしていた。

「……やられた…」

浅葱がそう呟いた瞬間、巨大な爆発が起こった。

【政府本部】

政府の本部で通信機を切った男はニヤリと笑った。

「篠崎、館は?」

男は隣りにいた眼鏡を着けた男、篠崎に言った。
篠崎は資料に目を向けた。

「跡形も無く吹き飛びました。生命反応もありません」

その報告を聞き、男は笑った。

「しかしよかったんですか?彼等は一応戦力なんですよ?」

「あいつ等はただの餌だ。平和に貢献出来て光栄だろ?」

男は笑い続けた。
それを横目に、篠崎は溜め息をついた。


【館廃墟】

館が完全に瓦礫と化した所に4人の人影。

「覚えてろ…」

1人の影が小さく呟いた。

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  1. 2007/09/25(火) 23:32:45|
  2. 番外編
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