IF Another despair side:Syugeibu

あってはならない未来。 けれど、ありえなくはない未来。

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El.8

【IF Another despair side:syugeibu】分の悪すぎる賭け


【20XX年 封鎖特区 横浜】

 始まりにして終わりの地、鎌倉。
 世界結界はもはや意味をなさず、
 敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。
 そのすぐ隣に存在する特区。
 終末のお隣さん、とも揶揄されるもう一つの封鎖特区。
【封鎖特区・横浜】
 この物語は、世界の終りの一歩手前で紡がれる。










『てゆーか、マジ最近政府っておかしくねー?』
『あー、やっぱそう思う?アタシもちょっと強引だしこじつけばっかだし変だと思った;;』
『だいいちさ、能力者を押し込めてる…特区?あれも変だよね。危険だから隔離したとか言ってるけど絶対嘘だよ。だってうちの親戚も青森の特区に入れられちゃってさ。いつもりんご贈ってくれるやさしいおばちゃんだったんだよ(#゚`Д゚)チョーアリエナイ』



「そう、だから今すぐに決めなくても良いわ。一度こっちから会いに行くから。その時までに決めてて欲しいの。そっちはそっちで色々今大変だろうしするのって即決は難しいでしょ?」



『それにほら、能力者なんて結構身近にいたりするし、祖先とか調べたら必ず一人は能力者だったとかあるってこの間の特番で言ってたよー。』
『それアタシも見た見た。』
『それマジ?』
『マジマジ(笑)』
『能力者同士の子供だったら絶対能力者らしいけど、一般人との子供だったら絶対じゃないらしいんだって。』
『そーそー、血がかなり薄くなってても覚醒する時はするらしいし。今も覚醒者が後を絶たないって言ってたよw』
『へー。うちの先祖にも居たのかもしれないとか思ったらさ、かなり身近に感じるよね(^▽^)』
『もしかしたら私とかもそのうち覚醒したりするかもしれないしw』
『ピンチの時に覚醒したらなんかヒーローっぽくてちょっとカッコよくね?(笑)』



「んー?アタシが提案したんじゃないわ。翔護ちゃんからじきじきのご指名よ。」
(ま、翔護ちゃんに指名されなくてもアプローチはするつもりだったけどね)



『それとかさ、能力者誘拐事件とか殺害事件とか警察あんましっかり調べなかったじゃん。あれも政府の圧力がかかってたんだって。』
『うっわー、ドラマみたいな展開だけどありえなくなさそうw』
『なんてゆーかー。あっちもこっちも黒い噂がプンプンだよね(汗)』
『でも火が無い所に煙は立たないとかゆうし、ありえなくは無いんじゃない?』



「寮で起こった事件の内容は一応情報としては手に入れてるけど、ちょっとお偉いさんの頭を疑う内容だからヒカルちゃんを救出したら本人から聞きださないといけないと思うわ。あと、一応わかってると思うけどかなりのリスクがあるからやるなら途中退場はなしだからね。その辺りちゃんと考えておいて頂戴。……じゃあその日に会いましょう。こっちから誰にもばれない様に密かに会いに行くから予定空けといて頂戴。返事もその時にお願いね。」

そう言って携帯を切ると書き込みを続ける。
此処はとある巨大な掲示板サイト。
今丁度チャットのような状況になっていたため書き込みを続けていた。
政府への黒い噂や理不尽な事に対する不満を此処で回収しながら噂の物的証拠を見つけたり、手に入れた情報から更に噂を流す。
噂は人から人へと伝わり、それはインターネットという世界だけではなく現実世界へ浸透していく。
その噂に信憑性があればあるほど効果は高い。
だから風我はなるべく確認が取れた情報から単純でわかりやすい噂へと変化させ流す。
もちろん、すこし誇張している物もあるがどれも真実に基づいている噂だ。
結界崩壊前に能力者が解決してきた事件の噂。
能力者連続殺人事件の噂。
非人道的な実験の噂。
ゴーストの兵器実用化の噂。
特区の内情の噂。
……Etc。
風我が小さな噂としてをさりげなく流したのだが、どれも真実が暴かれ始めている。
どれも真実なのだから当然だ。
掲示板や個人のチャット、個人ホームページのサイト主への手紙。
様々な方法で流された情報は今やテレビのゴールデンタイムで立証されているものもある。
それらに関した書籍も出され、世間は能力者に味方するものが大半を占めている。
もちろん、能力者の中には無差別に殺害をするものが居るのでそういう存在を排除するのは仕方がないことだ。
それでも、そうでない能力者は何故隔離されなければならないのか。
何故ちゃんとした審査もなく能力者というだけですべて監視・管理されなければならないのか。
今注目の話題はその基準と隔離の裏側、そこから連想される恐ろしい政府の思惑。
風我の最初に出したほんの少しの噂と言う名の情報は真実の姿を世間に見せつつある。
政府は最初、そういう番組を行おうとしたテレビ局に圧力をかけたがもちろんその情報は風我が噂として流す事で更なる反感を買った。
そう……もう政府は崩壊を止められない所まできている。
此処で強行策を取れば日本国民だけでなく世界からかなりの非難を浴びて、それこそどうしようもなくなる。
なによりも政府自体はこんな事はたいした問題にはならないと高を括っているが、それは大間違いだ。
今までも政治でばれないだろうと高を括って行った事が大問題になったということをまだ学習していない。
権力と金を貰った人間は思考回路がワンパターンで学習しなくなる。

徐々に始まった崩壊の始まりの鐘の音を耳の奥で聞き取りながら鼻で哂った。

(ざまーみろ。全てを飼いならそうとした罰よ)



そして、今風我が取り組んでいる情報収集は特区内の実験施設についてだ。
風我は帯刀翔護から連絡を貰うと、すぐさま内部潜入への手筈を整えて出した。
先程の電話はそれのメンバー集めの為の連絡だ。
出来る限り、あらゆる手段を用いて特区内の月宮ヒカルの居場所を探ったが、やはり外の情報と違い軍事機密だらけの特区内の状況は掴み難く、ヒカルの居場所の完璧な特定は困難だった。
(いくつか絞れたからそこから見つけ出すってのもあるけど、それは最終手段にしないと色々と不味い)
現在風我がヒカルの居場所として候補に上げられる施設は九つ。
もし一つか二つ目の施設で見つけられたら問題は無いが、その二つで発見できなかった場合救出できる確立が一気に低下する。
どの施設も非人道的な実験をしているという点で同じの為、少しでも危険になったら施設を廃棄されて別の場所へ移動される可能性が高い。
九つのうちの一つ。
確率的に言えば九分の一、11%だ。
つまり、こちらにとって分の悪すぎるギャンブルになる。
特区に入ってから情報を収集するという選択肢もあるが、それでは確実な情報を手に入れるのにどのくらいの時間がかかるかわからない。
ただでさえ死者や廃人者が続出している危険な実験という情報なのに、そんな実験を受けているヒカルの精神と肉体を考えるとそのようなロスは風我には考えられなかった。
(政府に関わり始めているAC社に極秘に所属している彼を救出チームに入れることが出来れば特定が早くできる。情報……今のアタシに必要な情報が手に入れられないなんて……これほどの屈辱は無いわ)
ギリッと歯をかみ締め鍵盤を叩いていく。
風我の兄である神之戯雷覇も政府に援助金を出していると言う点では係わりはあるが、神之戯家の方針で政府への援助金はまったく黒くない資金として出している。
昔から神之戯家の当主は頭の固い人間というイメージが政府に根付いており、もしそんな情報がばれればどんな事になるかもわからない政府ではない。
だから政府の裏とも言える実験施設の情報を知る事はかなり難しい。
その上、彼は今当主としての仕事をこなしながら世界を飛び回りゴーストで家を無くした人や家族を亡くした人達への支援もしている為、日本に戻ってくる事も難しい。
第一、そんな事をしてしまえば雷覇が行っている事全てが無駄になってしまう。
これからが大変になっていく今この時に雷覇に頼るのはダメだ。
その点から考えても、表向きフリーターとなっているが裏ではAC社の社員すら殆ど知らない極秘部隊の一員である天野夏優がメンバーに入る事が一番好ましい。
そしてAC社は政府の裏側の情報も得るほどある意味信頼が高まりつつある会社だ。
もちろん、この情報はまだ世間には知られていない。
世間では天野夏優はあくまで『フリーター』だしAC社は『最近頭角を現し始めた企業』だ。

(アタシだからこそ手に入れられた裏情報ってやつよね)

だからAC社の事を考えると表立って動けない。
そんな事はわかっている。
それでも翔護が夏優を押した理由はヒカルが二人にとって『特別な人』だからだ。
全てに関与する事が無理ならばせめて施設の情報と兵士の配備、施設内部の詳細な設計図を教えて貰えれば十分だ。
どこの施設に囚われているか、その施設の設計図と政府配備の交代時間がわかれば誰にも気がつかれる事無くヒカルを救出できる。
「もちろん、それだって結構リスクが伴うから断られても仕方が無いけどね。」

あちこちのサイトを見ながら呟くと、次の行動を考える為に思考の渦へ入っていった。




+ + + + + +




目覚まし時計の様な単調な音がして、ポケットに手を入れる。
さっき話していた携帯とは別の携帯を取り出し、メールの受信を確認して来た内容を読む。
内容はとあるサイトの情報メールだった。
この情報を引き出したサイトはサイト入室の情報が極僅かで見つけるのがかなり困難。たとえ運良く見つけたとしてもたった一つのヒントから連想した百八のパスワードと十三の難問を解かなければ入る事が出来ない。
そして入った先にはさまざまな裏ニュースと呼ばれる世界に入り、世界の色々な人間の裏情報が手に入るサイトだ。
そして一度入って外に出ると新しいパスワードと問題に代わっている為、再び解きなおして入らなければならない。
だが、それをしてあまりあるほど信頼性のあるサイトであることは確かだった。



引き出した情報を頭に入れるとメモ用紙に何かを書き出す。
書き終えたメモ用紙には人の名前がびっしりと書かれていた。
大物政治家の名前、資産家の名前、有名作家や俳優の名前など、さまざまなジャンルの人間の名前がズラリと並んでいる。
(もう少しでリストは完成しそうね。でも、このリストは完璧じゃないし今から行動してたんじゃ救出が更に遅くなる。やっぱり断られた時は内部に入ってから集めるしかないかしら)
目をつけ始めていた会社の株券を買いながらリストを頭に叩き込む。
メモを保存するなどという事はしない。
この情報は風我があらゆる手段を用いて手に入れた今後絶対に必要になる資料なのだ。
他人の手に渡る事はあってはならない。
リストを再び頭に入れると書いたメモ用紙に火をつけ灰にした。
そして完璧に証拠を隠滅すると、いつの間にか時間になったことに気がつき再び違う携帯電話から電話を掛ける。
何度かコールが鳴り、相手が電話に出たのを確認する。

「レインちゃん?……そうよ。会う日程が決まったから連絡入れたの。……それはまだわからないわ。夏優ちゃんの方も大変だろうし。やるからには色々覚悟をしてほしいって一応言っておいたし……そうね、兄弟って色々と大変だもの。アタシはフリーで動くって決めてあるし顔を出すようなヘマはしないし……救出の時?お気に入りの面でもつけていくつもりよ。特区への密航も素性は教えてないから大丈夫。それにもしもの時、雷覇はちゃんとアタシを切り捨ててくれる。問題なしよ。……わかったわ。そっちも何時でもいけるように準備はしておいてね。日程は今からそっちに蟲が教えに行くから。じゃあねー。」

携帯を切ると蟲を呼び出した。
「良い?あなたはレインちゃんに、あなたは翔護ちゃんにそれぞれ届けるのよ?じゃ、気をつけて行ってらっしゃい。」



蟲が夜空を駆け抜ける。
人々はその小さすぎる蟲を視界に入れることなく、その蟲が横を通り過ぎる事にも気がつかず歩いてゆく。

蟲は駆け抜け闇へと消える。
その闇を風我はいつまでも見つめていた。

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  1. 2007/10/04(木) 02:30:35|
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