IF Another despair side:Syugeibu

あってはならない未来。 けれど、ありえなくはない未来。

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Le.22

【IF Another despair side:syugeibu】殺ったら殺りかえされる…。



×月○日(晴れ)
「今日は久しぶりに俺のとこに客がきたと思ったら政府の野郎だった。
いきなり来て「能力者を匿ってないか?」だとよ。
俺は知らねぇと言って無視してやった。
いい気味だぜ。」

○月×日(晴れ)
「今日も嫌なほどよく晴れた日だな。
そんな晴れた日にまた政府が来やがった。
「隠し事は本当にないんだな?」とかしつこく聞いてきやがった。
だから俺は銃で脅してやった。
政府の奴等はびびって逃げていきやがった。
なんかあっさりしてやがるな・・・。
去り際の笑みも気になるなしな。」

×月×日(雨)
「やべぇ   ちがとま   らねぇ
せいふの やつ  らおれを  きけん ししやが  ってころし にきやがっ た
  だ  が  なんで  い きな りつよ きに
   めがか    す  んでき   やが   った


せ いふ    め ・・・・」

「…以上。あとは血で読めない。」
血塗れになった日記を読み上げるツインテールの"詩人"、琥珀。
それを黙って聞く仮面の"亡霊"、浅葱。
彼等の居る所はアオバエリアにある一軒の建物。
以前この建物の主人には世話になり、最近もちょくちょく雑談をしに来ていた。
しかし、その建物の中は荒らされ、食料は腐敗し、食器等は砕かれもはや利用価値が無くなっていた。
そんな荒れた部屋に横たわる腐敗した「肉塊」。
「琥珀…、彼はどこに居ますか…?」
目の見えない彼は琥珀に手を引かれ「肉塊」の近くに歩み寄った。
「ここ…。」
短くそう言うと、浅葱から数歩距離を置く。
琥珀が距離をとったのを直感で確認すると、浅葱は仮面を外し合掌した。


【20XX年 封鎖特区 横浜】
始まりにして終わりの地、鎌倉。
世界結界はもはや意味をなさず、
敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。
そのすぐ隣に存在する特区。
週末のお隣さん、ともされるもう1つの封鎖特区。
【封鎖特区・横浜】
この物語は、世界の終りの一歩手前で紡がれる。



~数日前~
政府の隊長の自爆で瓦礫と化した館跡に4人の男女が座っていた。
「いやはや吃驚した。俺はもうあれで死んだと思ったよ。」

「そうですねぇ。私もつい目を瞑ってしまいました」
爆発の影響であちこちボロボロになった悟は苦笑し、皐月も頬に手を添えていつもの笑顔で笑う。
こちらも同じくボロボロだった。
「でも、あの爆発の中なんで俺たちは生きてるんだ?」
疑問の顔で悟がそう言い空を見上げる。
また皐月も同じことを考えてたらしく空を見上げる。
「教えましょうか…?」
先程から黙っていた浅葱は少し疲れたような笑みを浮かべそう答えた。
悟と皐月は空から浅葱へと視線を移し、不思議そうな顔をした。
「知ってるんですか?」
皐月の問いかけに浅葱は黙って頷く。
「私がリフレクトコアを使って防ぎました…。」
軽く言われて一瞬呆ける二人。
あの爆発を普通に受け止めた浅葱。
正直言って本当に自分達と同じ人間なのかと言うのを疑ってしまう。
流石に無傷という訳ではないらしく、浅葱の身体からは夥しい量の血が流れていた。
そして何も言わずに治癒符を貼り続けている琥珀の行動も頷けた。
「さて…、これからの行動を発表します…。」
平然と喋り続ける浅葱はメモ帳を取り出し、琥珀に渡す。
治癒符を貼るのを止め、メモ帳を受け取ると琥珀はぺらぺらとページをめくり、メモ帳に書いてある文字をさらっと目を通し悟たちに目を向ける。
「皐月と悟はわたし達が保護した人たちの支援活動。
わたし達はこれから徐々に移動し、政府を駆逐。以上。」
その発表に少し驚いた表情で浅葱を見る皐月と悟。
立案した当人は腕を組み二人を見る。
「今、浅葱達が死んだと確信して政府は安心していると思います…。障害が1つ無くなりましたからね…。
それで政府は危険分子を排除するため動くでしょう…。
ですからこれ以上犠牲者が出ないように住民を守っていて欲しいのです…。」
そう頼まれた二人は少々納得いかない表情をしたものの頷いた。
「分かった。浅葱さん達も無理はしないでくれな?」
悟の言葉に皐月も頷き心配そうな顔で浅葱を見つめる。
そう言われ浅葱は苦笑し空を見上げた。
「……、努力してみます…。」
そう答えた。




…回想終了。




合掌を終え、浅葱は「肉塊」に手を触れる。
腐乱した湿った肉の生々しい感触が手を通して伝わってくる。
しかしそんな事を気にせず「肉塊」に触れ続ける。
すると「肉塊」から蒼白い靄が現れた。
その靄は人の形をしており、なにやら浅葱に訴えている。
存在だけを感じている浅葱は頷く。
一通り訴え終わると、蒼白い靄は浅葱の中へと入っていった。
「……っ」
浅葱は少し身体をびくつかせながらも靄を受け入れる。
少し心配そうな顔をしながらも琥珀は手を出さず黙って見届ける。
やがて動きが収まり、浅葱は黙って立ち上がった。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
駆け寄り声をかける琥珀。
そんな彼女に顔を向け、浅葱は苦笑した。
「やはりこれはかなり負担がかかりますね…。ですが…。」
服装を整え、浅葱は笑みを消し外を見た。
「また恨みが増えました…。」
そう言い浅葱は歩き出す。
琥珀も慌てて後に続く。
さらに後ろからは無数の蒼白い靄の塊が浅葱達に続いた。



「これで最後だな」
政府の軍服を着た男が2人、その1人が銃を一人の子供に向けた。
子供と政府の男の辺りには無数の死体。
全て特区に居た一般人である。
彼等は政府に疑いをかけられ、無実で殺された人々。
残るは銃を向けられ、腰が抜け動けなくなった幼い少女。
少女は涙を浮かべ小刻みに震えていた。
「広瀬、早く殺っちまえ。見てるこっちが苛々してくる。」
近くにもう1人の政府の男、斎藤に急かされ、銃を向けていた広瀬は引金を引いた。
荒れた地に響いた空しい発砲音。それと共に少女は眉間に風穴を開け崩れ落ちる。
少女の眉間からは血が噴出し、目は見開き、絶望に満ち溢れた顔のまま動かない。
それを広瀬は一瞥し、斎藤に目を向けた。
「これで任務は終了だな。さっさと帰ろうぜ」

「あぁ、そうだな…」
斎藤はそう言い歩き始める。
「しかし、あの"亡霊"が死んだってのは本当なのか?」
広瀬は斎藤の後に続きそんな質問をした。
斎藤は「またそれか…」と小さく呟き、溜息をついた。
「いいか。あの爆発だぞ?いくら"亡霊"と言っても唯じゃ済まないだろ。
それによ、生命反応もなかったんだ。死んだも同然だろ。」
広瀬は「確かに。」と呟き納得したがどこか腑に落ちなかった。
まだ生きているような感じがするからだ。
そんな物思い耽っていたその時だった。

後ろから物音が聞こえた。

広瀬と斎藤はまだ生きてる奴がいたのかと予感し、咄嗟に振り向いた。
しかしそこに居たのは。
黒く髪の長い男性と、こちらも黒く髪をツインテールにした女性が男性の手を引きながら死体達を見ていた。
男性は女性の手から離れふらふらと地面を這い、死体に触れるとそこに顔を向け合掌していた。
動き方からして目が見えていないらしい。
女性の方はというと先ほどから男性と広瀬達を交互に見ていた。
「さて…。」
男性は一通り合掌を終えると広瀬達に目を向けた。
その紅黒い双眸は光を宿さず、虚ろな目つきをしていた。
「この方達、殺したの貴方方ですか…?」
そんな質問をする男性。
ここに自分達しかいないから自分達しかやった奴はいない。
広瀬達はそう思った。
「仲間ならお前も後を追わせてやるぞ?」
斎藤はそう言い、銃を男性達に向けた。
広瀬もそれに習い、銃を向ける。
銃を向けられた男性と女性は、溜息をつき、睨んできた。
「「殺します…。」」
2人はそう言い放ち、一枚のカードを取り出す。
広瀬達は気づき、発砲した。
奴等は"能力者"だ。
「「起動!!」」
銃弾を避けた二人はそう叫び、姿を変える。
男性はフードつきのボロボロのマントを纏い、顔には白いオペラ仮面が張り付いていた。
女性は白いロングスカートにロングコートを纏い、片手にはギターが握られていた。
広瀬達は舌打ちをし、戦闘態勢に入った。
「「許しませんよぉ…。政府…。」」
シンクロする二人の声は荒れた地に響き、鮮明に届いてくる。
その不気味さに恐怖を覚えはしたがそれを振り払い、
「死ね!化け物!」
そう叫び発砲する。
様子見に発砲した弾を二人の"化け物"は容易く避け、女性は広瀬に、男性は斎藤に襲い掛かった。
女性はギターで殴りかかり、男性は踵落としを放つ。
広瀬はそれを接近戦用の刀を抜き受け止め、斎藤は腕をクロスさせ踵落としを受け止めた。
「貴方達は…、少し前にとある建物の主人も殺した方ですね…?」
そう言い踵に更に体重をかける仮面の男。
その重みに斎藤は耐え切れず、横に転がり避ける。
踵落としは地面にめり込み、小さいクレーターを作った。
あれがもろに入れば骨折以上。斎藤は目測した。
「なぜ知っている?」
先ほどの質問に斎藤は答える。
仮面の男から発せられる黒い殺気がまた一段と増した気がした。
「なぜ殺したんですか…?」

「危険分子を匿ってると見たからだ。
それにあいつは銃で脅してきたからな。当然の事だ。」
淡々と答える斎藤。
仮面の男は黙り込んでいたがまた殺気が増した。
分かりやすい奴だと斎藤は思った。
今のご時世にここまで分かりやすい奴はいない。
少なくともすぐ死ぬ分類に入る奴だ。
「殺気が分かりやすいな。そんなに俺達が憎いか?」

「憎まない奴の方が…可笑しい…。」
そう言い、仮面の男は突っ込んでくる。
斎藤は笑い、銃を向けた。
「それはごもっとも。だが、そのまま死ね!」
発砲した。
真っ直ぐ突っ込んでくる仮面の男は避ける素振りも見せない。
斎藤は勝利を確信した。

だが…。

仮面の男は弾が当たる数㎜を容易く避けた。
身を捻り、回転するように。
その動きに勝利を確信した斎藤は目を見開いた。
仮面の男はその勢いのまま殴りかかってきたが斎藤はかろうじて避ける。
しかし、速さが増している仮面の男は既に斎藤の真下で蹴りの態勢をとっていた。
「しま…」
言い切る前に仮面の男の蹴り上げが顎を直撃した。
短く声にならない呻き声を上げ、少し浮いた所に、仮面の男が更に肘をぶつける。
「く…っ、ちくしょう!」
斎藤は痛みに耐え、空中で銃を仮面の男に向け発砲した。
仮面の男は避けず、弾は腕を貫いた。
「…っ!」
痛みで仮面の男は顔を歪めるがそのまま飛び上がり、斎藤の真上にまでいくと光を集め一本の槍を形成した。
そして光の槍を振りかぶり斎藤の腹に突き刺した。
「…が…」
口から血が溢れ呻く。
彼はそのまま地面に落下した。
光の槍によって虫の息になった彼が目にしたもの。
空中から降りてきた男性が自分の頭に足を置いている光景。
その姿、虚ろな動き、瞳、亡霊と呼ぶにふさわしい姿だった。
死んだはずの亡霊のような気がした。
「最後に言いたいことは…?」
仮面の男がそう言い笑みを浮かべた。
「死ね…。化け物が…。」
ぐしゃ…。
果物が潰れるような音が響いた。


「斎藤!…、貴様ぁ!」
広瀬は仮面の男にに牙を向いた。
刀を握り直し、同僚を殺した仮面の男に斬りかかる。
はずだった。
「わたしを相手してるの忘れないでね?」
急に聞こえた女性の声に広瀬は振り向いた。
そこには手を振りかぶり、ギターを振りかぶり殴る準備をした女性。
斎藤を殺された勢いで女性の存在を忘れていた。
「しま…っ」
広瀬は頭に直撃を受け、気絶した。



目が覚めた。
広瀬は腕を縄で縛られ拘束されていた。
女性に気絶させられ捕らえられた。
広瀬はその原因の一つとなった一本の光の槍が突き刺さっている所に目を向ける。
そこには既に動かない仲間の姿。
頭は原型が無い。
そして目の前には。
仮面を着けた男性と白服の女性。
「さて…、貴方は捕まった訳ですね…。」
そう言い笑みを浮かべる仮面の男。
その笑みに憎らしさを覚え、広瀬は仮面の男を睨んだ。
仮面の男はその顔を見て苦笑して首を横に振った。
「くく…、威勢だけはいいですね…。
そんなに自分が死ぬのが怖くないんですか…?」
そう言い仮面の男は光の槍を形成し、広瀬に向けた。
広瀬は舌打ちをした。
「殺すならさっさと殺せ。俺は何も話す気など無い!」
そう怒鳴りそっぽを向く。
仮面の男の溜息のつく声が聞こえた。
「まぁまぁそう言わずに…、貴方が死んだら奥さん悲しみますよ…?」
その言葉に広瀬は硬直した。
確かに彼には帰りを待つ妻が居る。
しかしその話はこの特区ではまだ一度もしていなかったからだ。
「悲しむでしょうねぇ…?愛しの夫が死んだと聞いたら…」
仮面の男が演技じみた発言をしているが今の広瀬にはそんな余裕がなかった。
自分が死んだら妻が…。
そう考えただけで背筋がぞっとくる。
「何が知りたい?」
その言葉を待っていたような表情をする仮面の男。
「とりあえず聞きたいのはですね…。
亡霊掃討を計画したとされる立案者の名前…。
そして…、政府の様々な計画を教えてもらいましょうか…?」

「亡霊掃討か…。
あの計画の担当は俺達の上司、「松村」って男だ。
俺は直接会った事無いから分からんが、話によると平気で部下を見捨てられる男だ。
L計画等の事については名前くらいで詳しくは知らない。」
淡々とそう答えた。
仮面の男はそれを聞き終えるとふむ、と一息つき顎に手を当てる。
「L計画…。嫌な臭いがする計画ですね…。
政府は我々能力者を使い何を…。
なるほど…、分かりました…。ご苦労様です…。」
そう言われ、広瀬は安堵した。
「じゃぁ、俺は開放されるのか?」
そう言うと仮面の男は笑った。
その笑みは何かを思いついたような黒い笑み。
広瀬は嫌な予感がした。
「そうですね…。この方々がいいと言ったら開放しましょう…。」
-この方々?
そう思った広瀬は目を見開いた。
広瀬の目に映ったのは、
仮面の男のマントの影やフードの隙間の影から覗く
無数の目。
無数の目はそれぞれ別々の方向に忙しなく動かし、一頻り見るのが終わると、
広瀬に一斉に視線が向いた。
その光景にぞっとする広瀬。
見続ける目。
広瀬はまだ固まっている。
『こいつだ…』
やがて1つの目がそう呟いた。
『こいつよ…』
もう1つの目もそう言う。
残りの目もざわめき始める。
『こいつだ!僕等を殺した奴は!』

『間違いない!』

『俺は頭を撃たれた!』

『私は滅多切りにされた!』

『僕は首を斬られた!』

『許せない!』

『恨んでやる!』

『同じ目に合わせてやる!』

『殺してやる!』
「目」達は徐々に紅くなりながら叫んでいる。
目を見開き、震えながら固まっている広瀬。


『死刑だ!』


1つの「目」がそう言うと、仮面の男のマントがもぞもぞ動き、ごそりと1人の人が出てきた。
それは、あの時殺した眉間に風穴を開けた「少女」。
広瀬は驚愕した。
「死…刑…。」
少女は風穴が開いた眉間から血を流しながら近づいてくる。

ごそごそ…。

尚も動くマント。
そこから次々と現れる無数の人…人…人…ヒト…ひと…。
「ぶっ…殺す…。」
銃で頭が蜂の巣にされた「男」。
「同じ…目に…」
滅多切りにされた「女性」。
「恨…む…。」
首を片手に抱える「少年」。
その他にも片腕が無い「老人」。
足を無くし這いずる「老婆」。
それぞれが恨みを持った面持ちで広瀬に近づいてくる。
「な…な…」
恐怖に震える広瀬。
仮面の男と白の女性は黒い笑みを向けていた。
「私が集めた『恨み』の皆様です…。
皆さんの反応からして駄目みたいですね…。さようなら…。」
仮面の男は小さく手を振りそう言った。

-お前は何なんだ…。

声が出なかった。
広瀬は人々に組み付かれ、引き裂かれる。
あまりの激痛に悲鳴をあげた。
仮面の男は黒い笑みを浮かべながら
「あぁ…、言い忘れてました冥土の土産です…。
私は貴方方が言う"亡霊"と言います…。」
そう言う。

-やはり…、生きていたのか…。

薄れていく意識の中、妻の顔を思い浮かべ
何も見えなくなった。


……
………

「…、皆さんもう許してあげたらどうですか…?」
仮面の男の目の前には、1つの「肉塊」を苛めている複数の人々。
その人々は子供から老人。様々な人がたった一つの「肉塊」を苛めている。
「え~、だってぇ!」
1人の少女が仮面の男に顔を向けて言う。
眉間に風穴が開いていた少女。
しかし今は眉間に穴が開いていない。
その他の人々も先ほどの傷だらけだった姿が嘘の様に無傷だった。
「いくら恨みを表したいからって…、"死んだ時"そのままの姿で彼を殺さなくても…。」
仮面の男は苦笑しながらそう言うと、苛め飽きた人々は仮面の男に顔を向けた。
その顔は先程の恨みがましい顔とは別に、とても晴れやかだった。
「そうすればあいつ等も自分でした過ちを思い知れるだろ?浅葱さん?」
男がそう言うと他の人々も全員頷いた。
「まぁ、確かにそうですね…。」
浅葱と呼ばれた仮面の男は潔く肯定し、笑った。
それに釣られ、人々も笑う。
そんな中、先程まで遠くで何かをしていた1人の白い服を着た女性が駆け寄ってきた
「どうしました…?琥珀…?」
琥珀と呼ばれた女性が少し息を切らせ、浅葱に耳打ちをした。
耳打ちされた浅葱は少し眉を寄せ考え始めた。
そんな浅葱を見て疑問な表情を浮かべる人々。
「浅葱兄ちゃんどしたの…?」
少女がそう言うと浅葱は真剣な面持ちで人々に目を向けた。
「予想通りの展開です…。
政府が今度は南の方角へ向かって移動を開始したらしいです…。」
その言葉を聞き、人々の顔からは笑みが消え、恨みの色が染まりだした。
「どうする?」
琥珀はそう言い笑みを浮かべた。
浅葱はと言うと虚空を見上げ少し気乗りがしない表情をしていた。
なにせ南の方角にあるのは、あの『組織』。
「仕方ないですね…。」
溜息をつき、振り向く。
「行きましょうか…。ちょうど別の"住処"も見つかるかもしれません…。」
そう言うと浅葱は歩き出そうとしたが琥珀に手を引っ張られた。
浅葱は慌てた表情で琥珀に顔を向ける。
「そっちは西…。」
溜息をつき琥珀は浅葱の手を引き先導する。
間違った当人は苦笑して恥ずかしそうに頬を掻いた。
人々はそのやり取りを笑い、蒼白い靄へと変わりながら浅葱達についていく。
「そう言えば、お兄ちゃん。」
浅葱の手を引き先導する琥珀は、浅葱に顔を向けた。
「何ですか…?」
手を引かれている浅葱は疑問の表情を浮かべ琥珀に顔を向ける。
「あのさ、あの政府の男に奥さんが居るっていつ調べたの?」
その質問に浅葱は上を見上げ何かを思い出したように「あぁ…。」と声を漏らした。
「あれですか…。いやはや…、適当に言ってみるもんですね…。」
すっこけた。
あれは、ただの兄のカン…。
それに騙されたあの政府の男が敵ながらとても不憫に思えた。
「はぁ…、お兄ちゃんには時々驚かされるよ…。」
溜息をつき、琥珀は再び前を見て浅葱の手を引き歩き続けた。

日はすっかり傾き紅い空をいっそう紅く染め上げ大地を血の海のように照らしていた。


数日後...
カナザワエリアの最西端にある「廃病院」で隊員が数名行方不明になるという事件が発生した。
政府は現在も調査中である。

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  1. 2007/11/05(月) 21:20:43|
  2. 番外編
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