IF Another despair side:Syugeibu

あってはならない未来。 けれど、ありえなくはない未来。

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El.13

【IF Another despair side:syugeibu】悲劇?喜劇?


ある廃病院。
その廊下を1人の少女が走っていた。
しかし少女は半透明。足は完全に透けて見えなかった。
走りつづけていた少女はとある病室の前で止まりドアを開けた。
そこに広がっていたのは廃病院とは名ばかりではないかと思うほどの別世界。
綺麗に部屋は片付かれ、割れた窓等も綺麗にはめなおされていた。
そんな部屋に1人の女性が椅子に座り、窓を眺めていた。
ツインテールの目立つ黒髪の女性は少女に気付いていないのか、ずっと窓の外を眺めていた。
少女は不思議に思い、音も無く女性に近づき顔を覗き込んだ。
女性は静かに寝息を立て眠っていた。
それに気がついた少女は少し詰まらなそうな顔をして帰ろうとしたが一冊のノートを見つけ足を止めた。
少女は興味津々にそのノートを開くと中には日記が書かれていた。


その内容は、
血がこびりついたページから始まっていた。
そして、この物語はそのページまで、時間が遡る。





?月?日 アオバエリア

『数日前、アオバエリアにて、政府の支援団体が複数の死体を発見したと言う事を発表しました。』
『政府の話によると、傷口等から判断して能力者等による者の強盗事件によるものと思われるそうです。』

銀色の雨が降り注ぐ中、
古びたラジオは雑音混じりに語っていた。

しかし、それを聞くものは誰も居なかった。


ラジオの近くに

それらは転がっていた。
それらは人だったモノ。
それらは先程まで生きていたモノ。

それらが転がっていた場所は名も無い集落。
住んでいたらしき建物は崩壊し、食料と呼ばれた物体は既に原形を留めていなかった。

そんな集落だった場所を歩く1人の女性。
紅い眼をした女性は、長い黒髪を二つに分け、背中にはギターケースを背負っていた。
しきりに辺りを見渡し、何かを探しているような挙動をする女性は崖の方へと歩み寄り、下を覗いた。
女性は目を見開き、信じられない物を見たような顔をした。

崖下には横たわっていたモノがあった。
髪は女性と同じく黒く、また女性と同じく紅い眼をしていた。
それはぴくりとも動かず、紅い水がそれを中心に広がっていた。。
女性は目を細め、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
いや、実際には泣いており、大粒の涙が零れていた。
「お兄ちゃん!!」
涙を流しながら女性は叫んだ。



『死亡したと思われる方は以下のとおりです。』
雑音混じりにラジオはそう語り、人の名前を次々と言っていく。
その中には、先程兄と呼ばれていたモノの名前も含まれていた。








 始まりにして終わりの地、鎌倉。
 世界結界はもはや意味をなさず、
 敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。
 そのすぐ隣に存在する特区。
 終末のお隣さん、とも揶揄されるもう一つの封鎖特区。
【封鎖特区・横浜】
 この物語は、世界の終りの一歩手前で紡がれる。
 


【アオバエリア/事件発生前】
「よし・・・、さて、木の苗、お願いします・・・。」
1人の若い男性の声に呼ばれ、子供が駆け寄ってきた。
子供の手には数本の木の苗が納まっていて、その1つを先程呼んだ男に渡した。
「ありがとうございます・・・。」
男性は子供の頭を撫でると、その木の苗を根の部分まで植えた。
その周りにも数m単位で木の苗が植えられており、男性は満足したように頷いていると声が聞こえた。
「お兄ちゃ~ん!そろそろお昼だからご飯にしよ~!」

「集落の皆さんもまってますよ~!」
男性は声のした方に顔を向けると、そこに居たのは2人の女性。
どちらもパッと見同じ顔をしているが、1人は髪をツインテール、もう1人はそのまま髪を伸ばしていた。
「うん!わかった~!!・・・あっ!」
男性の代わりに傍に居た子供が大きな声で返事をし、木の苗を持った手でぶんぶん手を振った。
その瞬間に木の苗が子供の手をすっぽ抜けて放物線を描き飛んでいった。
慌てて男性は木の苗を追いかけ、手にとった。・・・が。
「え・・・?あ・・・?うぁ・・・!」
バランスを崩し、倒れこんだ男性だったが木の苗の上には落ちなかった。
彼は腕と足の力だけで木の苗上で止まっていた。
「お~!浅葱兄ちゃんすご~い!」
子供はそう言い浅葱と呼ばれた男性に飛び乗った。
「ぐぇ・・・!ちょ・・・、やめてください・・・!マジやめて!!」
浅葱は苦笑混じりに、しかし必死に震えた手足で我慢していた。
「く・・・、あはははははは!!」
ツインテールの女性は吹き出して笑い出し、
「くすくす・・・」
もう1人の女性は笑いを堪えていた。
「わ、笑ってないで助けてくださいよぉ・・・!!」
そんな彼の叫びが木の苗だらけの園に響き渡った。
とある昼の出来事。



アオバエリアにある1つの集落。
人口は僅か10数人。
柳・浅葱、琥珀を中心に主に緑化計画に励んでいる。

そんな彼等は今昼食にありついている。
1つの巨大な鍋の前に先程の2人の女性がおたまを持って立っていた。
10数人のテーブルの前には人数分の料理。
「はい、皆さん手を合わせて!いただきます!!」
ツインテールの女性が大声で叫ぶと、子供達が楽しそうに叫び、その後から大人たちも控えめに言った。
「よし!じゃぁ食せ!貪りつけ!!」

「あの・・・、琥珀さん。それは言いすぎじゃ・・・。」
琥珀と呼ばれた女性は苦笑して頭を軽く叩いた。
「あはは、ごめんミサキ。つい調子に乗っちゃって。」
長髪の女性、ミサキも釣られて苦笑して、自分達の席に座った。

そこからはもう、夜の様な宴会騒ぎになり、大人の一部は裸で踊りあい、奥さんらしき女性に頭を思いっきりぶん殴られ、連れて行かれるを繰り返し、そのたび笑い合っていた。
その光景を離れて食事をとっていた浅葱、琥珀、ミサキの3人は苦笑しながら眺めていた。
「相変わらず・・・、楽しい方々ですね・・・。」
笑いを堪えながら食事をとっていた浅葱はそう呟いた。
「なんだか昔を思い出してしまいますよ・・・。」
そう続けると、琥珀はにゃははと笑い、
「そだね~♪寮から離れて随分と経つけど、ヒカルさん達は元気にしてるかな?」
言い終え、野菜等を煮込んだスープをすくい、口に入れた。
程よく煮えた野菜が口の中で溶け、琥珀は満面の笑みを浮かべた。
「そう言えばお二人は元々そのヒカルさんのところに居たんですよね?どんな人だったんですか?」
スプーンを少し口につけ、ミサキは2人にそんな質問をすると、2人は互いに顔を見合わせ苦笑した。
ミサキは頭に疑問符を浮かべながら2人を見つめていると、その視線に気付いたのか浅葱と琥珀がミサキに顔を向け、笑顔を浮かべた。
「とても、優しくて誰にも好かれていた方ですね・・・。」

「でもどこか天然な所もあって面白いんだよね~♪」

「浅葱がこうやって笑顔が出来たのもヒカルさんの影響ですからね・・・。」
2人は自分達が思っていた寮長のイメージをそのままミサキに伝えた。
そんな2人を見て、ミサキは少し羨ましそうな表情を混じらせた笑顔を浮かべていた。
「なんだか、羨ましいですね。そんな寮長さんや寮生の皆さんと楽しく遊んだり勉強したり。私はほら、孤児院でしたから、何だか・・・。」
ははは、と苦笑しながら、しかし何処か悲しげな顔をしてスープに口をつけた。
ミサキは生まれてからこの年までずっと孤児院に居た為、人並みの幸せ、楽しみ等が分からなかった。

浅葱と琥珀は少し呆然としていたが。
琥珀がなにやら怪しげな笑みを浮かべると、ミサキの傍まで歩み寄った。
「え?何ですか?」
未だに怪しい笑みを浮かべる琥珀はミサキの腕をしっかりと掴み、
「えいやぁ!」
浅葱の方へミサキを投げた。
能力者と言うこともあってか、軽々とミサキを投げ飛ばしていた。
「え・・・、ちょ・・・、こ、琥珀・・・!?」
慌てて浅葱はスプーンを置き、ミサキを受け止めたまでは良かったが、勢いは止まらずそのまま浅葱とミサキは倒れこんだ。
「あたた。あ、浅葱さん大丈夫です・・・か!?」
頭をさすっていたミサキだったが、
今の状況を把握した途端、顔を真っ赤にし俯いた。
受け止めた浅葱も頬を少し頬を赤らめていた。
やれやれ、そう琥珀は呟き、自分も傍により二人を立たせると、浅葱の反対側からミサキに抱きついた。
「ふぇ!?」
ミサキが素っ頓狂な声を上げると、琥珀は笑い、物音やらなにやらで騒ぐのを止め注目する住民達の前で口を開く。
「ミサキ、昔は孤児院に居たかもしれないけどね。今はここに居る皆が家族同然!ミサキは1人だけど。1人は1人でも家族の1人!だよね!?皆!」
琥珀はそう叫ぶと大喝采が起こった。
「当たり前だ!ミサキちゃんは俺達家族の一員だ!」

「孤児なんて関係ねぇ!今の俺達も孤児同然なもんだぜ!」
そう言い、全員が笑った。
今の絶望的なご時世ではなかなかお目にかかれない爽やかな、希望に満ちた笑顔だった。
そんな笑顔に釣られ、浅葱と琥珀も笑い出す。
先程の言葉に感動していたミサキも涙を拭い、笑った。

アオバエリアにあるとある集落での出来事であった。





とある研究施設。
暗く、とても怪しい雰囲気が漂う研究施設があった。
そこには数人の研究員。
カプセルをみつめ、何かを観察していた。
カプセル内には銀色の髪の少女が苦しそうにもがいていた。
「彼女もよく頑張りますね。もうこの段階では大体のサンプルは使い物にならなくなるのに・・・。」
1人の研究員が少し気分が悪そうな顔をして、そう呟いた。
「あぁ、もう7:3だぜ?もういい加減不憫に思えてくるよ。」

「サンプルに変な情を持つと、君達もサンプルになってもらうぞ?」
その言葉に身体を震わせ、2人の研究員は振り返った。
そこには1人の研究員が狂気の笑みを浮かべ、カプセルに目を向けていた。
「クク・・・、ここまでうまくいくとは流石に思っていなかったが・・・、そろそろ次のサンプルでも採取をせねばな・・・。」

「せ、瀬戸内博士・・・!?ま、まだこの実験をするので・・・!?」
1人の研究員が勢いで振り返り顔が恐怖に引きつった。
瀬戸内博士は冷たく、まるで人ではなくその辺に転がっている死体を見る眼をしていた。
「文句があるならば君がサンプルになるかね?」
不気味に笑った。
研究員は完全に言葉を失い、「い、いえ・・・。」と呟き、再びカプセルに目を向けた。


「さて、という訳で君達にはサンプル採取及び、「試験体」の観察をして欲しいのだが…。」
瀬戸内博士の前には政府の軍服を着た男が数人立っていた。
政府の男達はよく分かってないような顔をしていた。
瀬戸内博士は溜息をつき
「理解できないのかね…。まったく、政府はもう少し教養があると思ったがどうやら間違いみたいだな…。まぁいい。」
悪態をつきながらも瀬戸内博士は1つの箱を取り出し一人の男に渡した。
「なんですか?これは」
政府の男の疑問に、瀬戸内博士はにやりと笑った。
「その中にはとある生物が入っている。それを現地についたらそこら辺の死体の上にでも置いてくれたまえ。」

「それで?どうなるんですか?」
そう問い掛けると瀬戸内博士は顔をしかめ、溜息をついた。
「それくらい、あっちへ行ってから確認してくれたまえ。研究で忙しいのだがね。」
瀬戸内博士はそう掃き捨てるように言った後、研究室へと消えていった。
政府の男達は不満の顔を満面に浮かべ、お互いの顔を見合わせ講義していた。
「とりあえず、行くしかないだろ。アオバエリアに。」
政府の男はそう言い、ヘリに乗り込んだ。
ヘリはゆっくりと浮上し、目的地へと進んでいく。

血生臭い惨劇が刻一刻と迫っていた。
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  1. 2007/11/10(土) 23:46:14|
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