IF Another despair side:Syugeibu

あってはならない未来。 けれど、ありえなくはない未来。

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Le.3

【IF Another despair】亡霊と詩人


【20XX年 封鎖特区 横浜】
 
そこは始まりにして終わりの地、横浜。
世界結界はもはや意味をなさず、 敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。



【エリア アオバ】

もはやそんな面影も無い荒れ果てた地を複数の男女が歩いている。
人数は5人。

それぞれの軍服の胸元には政府の紋章が刻まれていた。
 
どうやら政府の能力者らしい。

彼等は口数も少なく、ただ黙々とある場所を目指し歩いていた。

ある場所とはここから少し離れた洋館。

夜な夜な明かりが灯るらしく政府はそれを不審がり男女に調査を命じ、現在に至る。

「あの洋館だよね…?」
1人の腰に銀の鈴を着けた少女(以後鈴の少女)が震える手で遠くに見える洋館を指差す。

「あぁ、間違いないな…」

少し背の高い赤い髪が目立つ少年(以後赤髪の少年)が呟く。

「皆、相手はどんな相手か分からない…。だが、俺たちは全員生きて帰るんだ!」

いかにもリーダー的な少年(以後リーダー)は拳を握り締めお約束な事を言うと、

「ふん、当たり前だ…。」

長い髪のいかにもクールな少年(以後長髪少年)は冷静に答え、

「おっ、リーダーがやる気だねぇ♪惚れちゃいそう♪」

どんな状況でも明るく振る舞いそうな少女(以後明少女)は茶化す様に答える。

そんなやりとりをしていると、鈴の少女が不思議がり虚空を見ながら口を開いた。

「ねぇ…、何か聞こえない…?」

そう言われた4人は耳を澄ました。

確かに、詩の様な声が聴こえる。
5人はその場で辺りを見渡すと

「あっ、いた!」

明少女は洋館がある方を指差す。
4人は指の差す方を見ると道の端でギターを持った1人の人間が座って唄っていた。
5人は少し警戒しながら近付いた。
白い紳士服を着こなした女性だった。
女性は少年達に気付いたらしく優しく笑みを向けた。

「どうかしたのかな?」
女性にそう言われ、ようやく安堵した少年達は警戒を解いた。

「おばさん何やってんの?」

「お、おば…!?わたしまだ20代なんだけど…」

リーダーの言動に即座に突っ込みをいれた女性は苦笑し、

「わたしは詩人をやってるのよ。この絶望の中を生きてく人に希望を与えたくてね」

そう答え、

「あなた達は何をしているの?」

女性は質問を返した。
少年達は顔を見合わせ政府の手帳を見せた。
女性はさほど驚かずに手帳を見て関心した様な顔をした。

「へ~、君達政府の能力者なんだ~。すごいね~。」

女性はそう言い、ギターを弾き始める。

「あの洋館を調査する君達に応援の詩を贈るよ。異国の言葉だから分かりづらいけどね」

女性はそう言い歌い始めた。

美しい音色と優しい声が混じり、少年達はその詩を聞き入った。

やがて歌い終わると

「異国の言葉だけどとても良かった。ありがとおばさん」

と相変わらずおばさんと言うリーダー。

女性は諦めて苦笑をし、

「それじゃ、頑張って~。幸運を祈るよ。」

と激励の言葉を言い、少年達を見送った。
女性はしばらく少年達を見て、苦笑をした。

「若いっていいねぇ~ホントに……無謀で…。」
【エリア ニカイドウ~洋館前~】
「着いたな…。」

長髪少年は呟き4人を見た。
リーダーは頷き、

「散り散りになり中を調べよう何か見つけたらこのトランシーバーで伝える様に。」

リーダーはそう言い、4人を見た。
4人は黙って頷き洋館に目を向けた。
洋館はただ黙って少年達が入るのを心待ちにしていた。

「行くぞ!」

その掛け声で少年達は中へと入っていった。


赤髪少年は廊下を歩いていた。
中は意外と広く、廊下も広い。

だが肝心の明かりは付いていなかった。

「ただの見間違いじゃねぇのか?」

赤髪少年は呟き、手短に調べを済ませようと一番近い部屋へと入った。

「何の部屋だ…?」

赤髪少年は呟き、辺りを見回していると次第に暗闇に目が慣れてきた。
辺りがよく見える様になり再び見回した。

「人形か…?」

赤髪少年が見たものは無数の人形が置かれた部屋。

「気味がわりぃな…」

一刻も早く出よう。

そう思い、ドアノブに手を掛けた。が

「……!」

開かない。
いくらドアノブに力を込め、引いても押してもビクともしなかった。
赤髪少年は焦り、人形をかきわけ窓に手を掛けた。
しかし開かない。

「ち…っ!なら…!」

赤髪少年は腰に吊ってあった詠唱銃を手に取りドアノブに向け銃を向けた。その時

「……!」

電気がついた。

赤髪少年は驚愕し辺りを見回した。
そして明かりのスイッチに目を向けると、

人形が明かりをつけていた。

「…な…!」

人形が動いたのに驚く赤髪少年。
人形はただ赤髪少年を見ていた。
だが次の瞬間

「ヨウコソ!」

喋った。

「ヨウコソ!ワガアルジノワンダーランドへ!ボクハカワユイニンギョウ!デガラシチャンダヨ!」

喋り続ける人形。

赤髪少年はしばらく固まっていたが我に返ると銃を人形に向け発砲した。
「ウギャッ!」

人形はそう短い悲鳴を上げるとドサッと倒れた。

「ふざけんな…。何がワンダーランドだ…。」

赤髪少年はそう言い振り返り再びドアノブに銃を向けようとした。

「イタイナ~」

赤髪少年は固まった。
そして、振り返ると額に風穴が空いた人形が立ち上がっていた。

「な…!」

その光景に言葉が出ない。

「キミはワンダーランドニアソビニキタンジャナインダ…デガラシチャンチョットザンネン…。ソノジュウハボッシュー!」

人形はそう言い、近付いて来た。

「ちっ…。」

赤髪少年は再び銃を構え引き金を弾いた。

カチ…。

部屋に響いた音。
それは発砲音ではなくハンマーが途中で引っ掛かった音。

「ち…何故弾が…!」

赤髪少年は自分の銃を見て驚愕した。
ハンマーに人形の手が引っ掛かっていた。
デガラシはその隙にナイフを片手に赤髪少年の手に深々と突き刺した。

「ぐぁ…っ!」

赤髪少年は痛みで銃を手放した。
それを別の人形が銃を窓に放り投げ捨てた。

「コレデキミハマルゴシ!」

マルゴシ!マルゴシ!

他の人形達も合わせて叫ぶ。
武器を無くした赤髪少年は最後の希望を託しトランシーバーを手に取り、
「俺だ!今閉じ込められている!助けてくれ!」
叫んだ。

するとトランシーバーが反応した。

助かった。

赤髪少年はそう思った。
しかし、返答は…

「うわぁああああ!」

リーダーの叫び声。

「た、助け…グシャ!ギャァァァアアアア!グシャ…ズル…ベチャ…ザー」

何かがリーダーを殺した。
トランシーバーは別の電波をキャッチした。

「な、何なの!?アンタ等!来ないで!来ないでよ!う、ぐ…ぐぇ…ドサッ…ダン!……ザー」

明少女が首を絞められ殺され、さらに刃物で斬られる音がした。

「う、うわ!」

赤髪少年はトランシーバーから手を放した。

「モウスンダカナ?」

デガラシの声がしてデガラシに目を向けた。
しかし、そこに居たのはデガラシではなく、オペラ仮面をつけた謎の男だった。

鈴の少女はとある部屋に来ていた。
特に目立ったモノも無く、調べるモノも無い。
ただ鈴の少女は怖くて隠れていただけだった。
彼女は調べていた途中に聞こえたあのトランシーバーの叫びで完全に臆していた。

もう仲間が三人も死んだ…。

彼女は涙を流し、心の中でそう思った瞬間だった。

ザー

トランシーバーが受信した。
鈴の少女はビクリと震え耳を塞いだ。
トランシーバーから長髪の少年の声が聞こえた。そして、また湿っぽい音が聞こえ、死んだ。
彼女は確信していた。

次はわたしだと…。

ここを探し当てて殺すんだと…

ガチャッ

鈴の少女は固まった。
この部屋に入って来た。
鈴の少女はカタカタと震えた。
足音は近付いて来る。
鈴の少女はもうダメだと思った。

「見っけ♪」

鈴の少女はキョトンとした。
聞き覚えのある声がして、彼女は顔を少し出した。そこにいたのは詩人の女性だった。

「いや~、あの後心配になってさ~来ちゃった♪」

女性は楽しげに歩きながらそう話し、鈴の少女は聞きながらついて行く。

「さ、着いた♪」

「ここは…?」

鈴の少女は辺りを見回した。
少し広々とした広間だった。

「ここに貴女が欲しい情報があるんだよね~」

その言葉にビクッと震えた。

「何故…、そんな事を…?」

恐る恐る女性に質問した。

「それは…、私が説明しましょう…。」

突如声がして鈴の少女は顔を強張らせた。

「ようこそ…、狂気の館へ…。貴女は来訪44人目になります…。」

少し離れた所から足音が聞こえた。
月明りに照らされたその姿は黒の紳士服を着こなしたオペラ仮面を着けた男。
鈴の少女は警戒し、武器を構えた。

「…、警戒されてますね…」

「仕方ないよ怪しいもん」

女性は笑って答える。
鈴の少女は疑問の顔をした。
白い女性と黒い男性は共に笑い、

『知りたい…?』

二人は同時に言い始めた。

「私達は兄妹です…。」
「わたしは誘いの詩人。」
「私は黒き亡霊…。」
「わたしが誘い。」
「私が殺す…。」
「明かりをつけたのもその為。不思議がり貴方方が寄ってくる♪」
「貴女達が知りたい事ですね…。」
「わたし達、政府の輩は」
「許しません…。」
「荷担する能力者も」
「また同罪です…。」
「「だから殺す…。」」
二人は狂気的な笑みを浮かべ楽しそうに話した。
鈴の少女は呆然とその話を聞いていた。

「貴女もホントは死ぬ筈だったんですが…」

「え…?」

鈴の少女は驚いた顔をして、オペラ仮面の顔を見つめた。

「詩人のお願いで貴女を見逃します…。」

意外な事を言われ詩人を見た。
詩人はにこっと微笑むと、

「そう言う事、さ、早く逃げなさいな。わたしは気分屋だよ?」

そう言われた鈴の少女は戸惑い、慌てて二人に背を向け、歩き出す。
4人の仲間は失ったけど、生きて帰れると思った。

「あ、ちょっとちょっと~。」

詩人に呼び止められ振り向くとツインテールの詩人は満面の笑みで鈴の少女の耳元で何かを囁いた。

【政府本部】
鈴の少女は虚ろな目で上司の前に来ていた。
上司に仲間が死んだ事を報告すると上司は残念そうな顔をした。

「なるほど…、非常に残念だが君のおかげで今後の犠牲が少なくなる。よくやった。早速報告を頼む。」

「はい…。」

鈴の少女は虚ろな目をさらに深い黒に染めると狂気的な笑みを浮かべた。

「どうした?」

上司は問うと
鈴の少女は口を開いた。

「はじめまして…、政府殿…。」

鈴の少女からは別な声が発せられた。上司と付き人は驚愕した。

「私は貴方方が調べようと努力してる館の主、黒き亡霊と申します…。」
上司はその声を半ば呆然としながら聞いていた。

「私は貴方方を許しません…。」

「我々が何をした!」

ついに上司は声を上げた。
しかし、黒き亡霊は笑うだけ。

「自分の胸に聞きなさい。では、失礼…」

鈴の少女はそう言い終わると笑いながら自分で自分の首を切り、息絶えた。

「くそがぁっ!」

上司は机を叩き叫んだ。
上司の頭にはただ1人の少年が浮かんでいた。
アイツが生きていた。
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  1. 2007/09/04(火) 22:37:39|
  2. 番外編
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